午前免除(科目A免除)試験の過去問は何年分? 数えたら71回分

「午前免除の試験は過去問がそのまま出るらしい」——講座に申し込んだあと、 そう聞いて過去問を探し始めた人がまず詰まるのが「では何年分やればいいのか」です。 調べても答えが出てこないのには理由があります。 この試験は「年分」で数えられる形をしていないからです。 代わりに数えられるもの——IPAが公開している回数と問題数——を実際に数えて、 やる量を自分で決められる形にします。

結論:数えるのは「年分」ではなく「回」

「そのまま出るのか」だけ知りたい人は 噂の検証へ、 すでに講座に申し込んでいて日程を組みたい人は 実施日と逆算へ飛んでください。 制度そのもの(講座の選び方・費用・使うべきか)は 科目A免除(午前免除)とは にまとめています。

なぜ「何年分」で答えが出ないのか

本試験の過去問なら「令和◯年度の春期・秋期」という単位があるので「5年分=10回」と換算できます (その本試験側でも単位が壊れている話は 過去問は何年分やる? に書きました)。 ところが修了試験は、そもそも数え方が違います。

  1. 年2回ではなく年4回。IPAが問題を提供する修了試験は夏季2回・冬季2回で、 しかも12月と翌年1月にまたがるので「◯年度分」がきれいな区切りになりません
  2. 2023年に問題の形が変わった。旧・午前試験に対応していた頃は 80問でしたが、本試験が科目A(60問)へ移行したのに合わせて 修了試験も60問になりました。 同じ「1回分」でも中身の量が違います
  3. 受験できる回数が最大2回。本試験のように「落ちたらまた受ける」を前提にできないので、 「5年分やれば安心」のような曖昧な目安では計画になりません

つまり「何年分」という問いの立て方自体が、この試験には合っていません。 置き換えるべき単位は問数です。

数えた:公開されているのは71回、現行形式は14回

IPAは「科目A試験免除制度」のページに、過去に実施した修了試験の問題と解答を 年度ごとに並べています。2026年8月16日時点で数えると、次のとおりでした。

公開されている修了試験回数問題数
現行の60問形式(2023年6月以降) 14回 840問
旧・80問形式(2023年1月まで) 57回 4,560問
合計 71回 5,400問

※IPAが「71回」「5,400問」と公表しているわけではありません。 公開ページに並ぶ解答PDFを当サイトが数えた集計です。形式の判定は解答PDFの末尾にある 「合格基準:◯問中◯問以上」の記載から行いました(読み取れなかった8回分は実施日から旧形式に数えています)。 年4回の実施ごとに増えます

ここで効いてくるのが本試験側との在庫の差です。 IPAは本試験の科目Aについて、2019年度秋期までの旧・午前問題は公開しているものの、 現行の科目A形式で公開しているのは140問だけです (サンプル問題セット60問+年度別公開問題20問×4年度)。

現行形式(60問・2023年〜)で入手できるもの回数問題数
本試験の科目A(IPA公開分) 140問
修了試験(免除試験) 14回 840問
ここが見落とされています:現行の科目A形式でIPAが公開している問題は、 本試験側が140問しかないのに対し、修了試験側には840問=約6倍あります。 しかも1回分がまるごと60問なので、模試としてそのまま使えます。 免除を使う予定がない人にとっても、現行形式でいちばん大きい演習の在庫がここだということです。

※本試験側の140問は当サイトが数えた集計です(過去問は何年分やる?)。 修了試験は「科目A試験に相当する」ものとIPAが説明していますが、本試験そのものではありません。 出題範囲は同じシラバスでも、難易度や作問の傾向が完全に一致する保証はありません。

合格基準が公表されている、めずらしい試験

修了試験の解答PDFには、正解の一覧の下に「合格基準:60問中36問以上」と書かれています。 IPAの事務運用マニュアルでも、修了認定の基準は「満点の6割以上」と定義されています。 旧・80問形式のときは80問中48問以上で、こちらも6割です。

これが地味に大きな違いです。本試験のほうは「何問取れば受かるか」が分かりません。 採点がIRT(Item Response Theory:項目応答理論)で、1,000点満点中600点という評価点の基準しか示されておらず、 正答数から評価点への換算表をIPAは公表していないからです。

比べるもの修了試験(免除試験)本試験の科目A
合格の基準 60問中36問以上(満点の6割以上) 1,000点満点中600点
採点のしかた 正答数をそのまま数える IRT(Item Response Theory:項目応答理論)
「あと何問」が分かるか 分かる 分からない(換算表が非公表)

つまり修了試験は、目標を問数で置ける数少ない場面です。 60問中36問=正答率60%で、 24問は落とせます。 過去問を解いたときも「◯点」ではなく「60問中◯問」で記録すれば、 合格基準との距離がそのまま見えます。

逆に言うと、本試験の科目Aで「過去問道場で9割取れているから大丈夫」という感覚は当てになりません。 評価点は正答数そのものではないからです。この非対称の詳しい話は 科目Aは難しい?(評価点分布で見る落ち方) にまとめています。

「過去問がそのまま出る」は本当か

この試験を調べていると必ず出てくる噂です。結論から言うと、 当サイトはこれを事実として断定できません。 IPAは修了試験の出題の由来について何も公表していないからです。 「過去問から◯割出る」と書いている情報源はありますが、それは指導している側の観察であって、 IPAが認めている数字ではありません。

一方で、IPAの資料から確実に言えることはいくつかあります。

IPAの資料で確認できることそこから何が言えるか
修了試験は「科目A試験に相当する」試験である 出題範囲は本試験の科目Aと同じシラバス。科目Aの対策がそのまま効く
問題は「1回限り使用可能」で、同じ日の全ての認定講座が同じ問題を使う 問題は実施日ごとに配られる使い切りのもの。「前回と同じ問題冊子が配られる」わけではない
解答と合格基準は実施日の翌営業日に公開される だから71回分もの過去問が残っている。教材が増え続ける構造になっている
出題の由来(過去問を使うかどうか)についての記載は無い 「そのまま出る」を前提にした対策は、公式の裏付けがない賭けになる

判断としてはこうなります。過去問を回すこと自体は正しい——出題範囲が同じで、 71回分もの教材が無料で手に入るのだから、これをやらない理由がありません。 ただし「答えを覚えれば受かる」という期待の持ち方はしない。 同じ論点が別の切り口で問われたときに解けるかどうかで、36問に届くかが決まります。

※当サイトは修了試験の問題文を掲載していません。上の表はIPAが公開している制度資料の記載にもとづく整理です。

では何回分やるか

在庫が71回もあるので、全部やろうとすると終わりません。優先順位はこうです。

優先度使うもの使い方
まず 現行60問形式の14回 新しい回から順に。1回分をそのまま解いて「60問中◯問」で記録する。 36問に届かない回が続くうちは、次の段階に進まない
次に 間違えた問題の論点 2周目は解き直しではなく分野の穴埋め。同じ分野で落としているなら、 科目Aの頻出分野 に戻って範囲ごとやり直す
足りなければ 旧・80問形式の57回 全部やる必要はない。分野を選んで拾うのが正解。 法務・ストラテジ系は制度が変わっているので古い回の正解を信用しない

現行14回=840問を、本試験の科目Aと同じペース(1問1.5分)で 1周だけ通すと約21時間です。解説を読む時間を入れればその2〜3倍になります。 修了試験までの残り日数で割れば、1日あたりに必要な時間が出ます。

1日あたりの必要時間は 勉強時間の逆算ツール で計算できます。 古い回をどこまで遡るか(分野ごとに賞味期限が違う話)は 過去問は何年分やる? の分野別の整理がそのまま使えます。

実施日は年4回・日曜固定

本試験は通年CBTでいつでも受けられますが、修了試験は日程が決まっています。 IPAが問題を提供する修了試験の実施時期は次のとおりです。

時期実施日
夏季6月 第2週(日)
夏季7月 第4週(日)
冬季12月 第2週(日)
冬季翌1月 第4週(日)

つまりチャンスは年4回、しかも日曜日です。 「あと1週間ずらして受けたい」ができません。 さらに、決められた日時に受けられなかった場合は理由を問わず再試験は実施されないとされています。 本試験の「31日空ければ何度でも受け直せる」感覚とはまったく別物です。

本試験のほうの再受験ルール(前回の受験日の翌日から起算して30日を超えた日以降)は 再受験日シミュレーター で計算できます。 修了試験には適用されないので混同しないでください。

受かった翌日には使えない:免除の有効期間

ここが最も見落とされやすい点です。修了試験に合格すると科目A試験が 1年間免除されますが、 その1年間は試験の翌日から始まるのではありません。 IPAは実施日ごとに有効期間を日付で示しています。

修了試験の実施日科目A試験免除の有効期間
2026年6月14日(日)2026年7月3日(金) 〜 2027年7月2日(金)
2026年7月26日(日)2026年8月14日(金) 〜 2027年8月13日(金)
2026年12月13日(日)2027年1月1日(金) 〜 2027年12月31日(金)
2027年1月24日(日)2027年2月12日(金) 〜 2028年2月11日(金)

※2026年度分。IPAの資料に「予定」と明記されているものです。年度ごとに更新されるので、 自分が受ける回の日付は必ず最新の資料で確認してください。

表を見ると、どの回も実施日の19日後(3週間後の金曜日)から有効期間が始まっています。 修了認定の報告や集計に時間がかかるためと考えられますが、受験する側にとっては実害があります。

やってはいけない段取り:修了試験の直後に本試験を予約してしまうこと。 たとえば2026年6月14日(日)に合格しても、免除が効くのは2026年7月3日(金)からです。 その前に本試験を受けると、科目Aも受験することになります。 本試験の申し込みでは、免除の有効期間に入っている受験日を指定する——これだけ覚えてください。

逆に、期間の終わりも日付で決まっています。2027年7月2日(金)まで、というようにちょうど1年間です。 科目Bの対策が長引くと期限に追われることになるので、 修了試験に合格した時点で本試験の受験日を仮決めしておくのが安全です。 科目Bにどれくらい時間が要るかは 科目Bの対策時間 で見積もれます。

受験のチャンスは最大2回(しかも講座の設定次第)

IPAは制度の特徴として、修了試験は2回(連続した月)まで受験できるので 1回目で不合格になっても再受験できる、と説明しています。ただし条件があります。

  • 回数を決めるのは講座側。1つの実施講座に対して最大2回まで「設定できる」という制度で、 1回しか設定していない講座もあり得ます
  • 1回目の実施後に2回目を追加することはできないとされています。 「落ちてから追加してもらう」は通りません
  • 合格しても、それだけでは修了認定になりません。IPAが示す修了認定の基準には、 修了試験の合格に加えて受講項目数の2/3以上・受講時間数(出席率)の2/3以上が含まれています
講座に申し込む前に聞くこと(過去問の量より先に効きます):
  1. 修了試験は何回設定されていますか(1回か2回か)
  2. 実施日はいつですか(年4回のどれか)
  3. 修了認定に必要な出席率・受講項目の条件は何ですか
そもそも個人で受講できる認定講座が少ないという話は 科目A免除(社会人が使える講座は少ない) に書いています。

講座選びから見直したい人へ(必要な人だけ)

ここまでの内容は、すでに認定講座に申し込んでいる/申し込む予定の人向けです。 「そもそも免除を使うべきか」から迷っている場合は、先に 制度と費用の記事独学か講座か を読んでください。

まとめ

  1. 免除試験=修了試験の過去問はIPAが71回分を無料公開している。数える単位は「年分」ではなく
  2. 現行の60問形式は14回=840問。 本試験の科目A公開分(140問)の約6倍あり、免除を使わない人にも最大の演習在庫
  3. 合格基準は60問中36問以上と公表されている。記録は点数ではなく問数で取る
  4. 「過去問がそのまま出る」はIPAが公表していない。過去問を回すのは正しいが、答えを覚える対策にはしない
  5. 実施は年4回・日曜固定で、当日受けられなければ再試験は無い
  6. 免除の有効期間は実施日の19日後から1年間。 本試験はこの期間に入る日を指定して申し込む

よくある質問

認定講座を受けていなくても、修了試験だけ受けられますか?

受けられません。修了試験は認定講座の受講生を対象に、その講座の中で実施されるものです。IPAも「講座を受講したい方」は講座開設者へ直接問い合わせるよう案内しています。ただし過去に実施された修了試験の問題と解答はIPAのサイトで誰でも無料でダウンロードできるので、免除を使う予定がない人でも科目Aの演習教材としては利用できます。

免除されるのは科目Aだけですか? 科目Bはどうなりますか?

免除されるのは科目A試験だけです。本試験当日は科目B(アルゴリズムと情報セキュリティ)を受験します。科目Bは免除の対象にならないので、修了試験に合格したあとの学習は科目Bに集中することになります。IPA自身も、制度の特徴として「科目B試験の学習に集中することができる」と説明しています。

修了試験の過去問はどこからダウンロードしますか? 有料ですか?

IPAの「科目A試験免除制度」のページに「IPAの提供する修了試験の過去問題・解答」という区分があり、年度ごとに問題PDFと解答PDFが並んでいます。閲覧・ダウンロードは無料で、会員登録も必要ありません。なお認定講座の開設者側には問題提供料などの費用が案内されていますが、それは講座を実施する側にかかるもので、公開済みの過去問を見るのにお金はかかりません。

免除の有効期間中なら、本試験を何回でも免除で受けられますか?

当サイトが確認した範囲では、IPAは「修了認定者として1年間、科目A試験が免除される」と有効期間を日付で示しているだけで、その期間内に使える回数についての記載は見当たりませんでした。本試験そのものには、前回の受験日の翌日から起算して30日を超えた日以降でないと次の受験日を指定できないという間隔の制限があります。回数の扱いは受講する講座かIPAに直接確認してください。

出典・ご注意

修了試験の実施方法・実施時期・合格基準・免除の有効期間・修了認定の基準はIPA(情報処理推進機構)が公表している資料の記載にもとづきます。公開されている修了試験の回数(71回)と問題数(5,400問)はIPAの公表値ではなく、当サイトが2026年8月16日に公開ページを数えた集計です。年4回の実施ごとに増えます。有効期間の表は2026年度分でIPAが「予定」としているもので、年度ごとに更新されます。修了試験の受験は認定講座の受講生が対象で、個人が単独で受験できるものではありません。出題の由来(過去問からの再利用の有無)についてIPAは公表しておらず、本記事は「そのまま出る」ことを保証するものではありません。制度は変更される場合があるため、申し込む前に必ずIPAおよび受講する講座の最新の案内をご確認ください。合格・免除を保証するものではありません。

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