基本情報技術者の資格手当はいくらもらえる?

「基本情報の資格手当は月5,000〜10,000円」——検索すると、どのサイトもだいたい同じ数字を書いています。 ただ、その数字がどこから来たのかを書いているサイトはほとんどありません。 調べてみると理由ははっきりしていて、試験ごとの手当額を集計した公的な統計は存在しないからです。 では何なら分かるのか、そして自分がいくらもらえるのかをどう確かめるのかを、 国の調査と自社で見るべき書類の両方から整理します。

先に結論:「基本情報の相場」を探しても答えは出ません。確かなのは次の2つです。 ①資格手当を出している会社は全体の約半数(全企業の48.5%)、 ②支給されている人の平均は月21,500円(ただし全資格をまとめた数字)。 自分の金額を知る唯一の方法は、勤務先の賃金規程を見ることです。

なぜ「相場」が確かめようがないのか

資格手当は法律で決まった制度ではなく、会社が任意で作る賃金制度です。 支給するかどうか、対象にする資格、金額、支給期間まで、すべて各社が自由に決められます。 国も業界団体も「基本情報技術者に対する手当額」を集計していません。

それでも「5,000〜10,000円」という数字が並んでいるのは、 制度を公開している一部の会社の例と、転職メディアの体感が引用を重ねて広まったものと考えるのが自然です。 実在する会社の実例ではあるので嘘ではありませんが、母集団が分からない数字である以上、 「自分もそれくらいもらえるはず」という根拠にはなりません。

国の統計で言えること(技能手当・技術(資格)手当)

試験別は無いものの、「資格を持っている人に払う手当」という大きなくくりなら、国の調査があります。 厚生労働省の就労条件総合調査です。この調査では諸手当の種類の1つとして 「技能手当、技術(資格)手当」=特定の技能、検査資格などを有する者に対して支給する賃金を集計しています。 諸手当の調査は毎年ではなく、直近は令和7年(2025年)調査で、 対象は令和6年(2024年)11月分の支給実績です。

技能手当・技術(資格)手当令和7年調査
(2024年11月分)
前回・令和2年調査
(2019年11月分)
支給している企業の割合(全企業)48.5%43.8%
支給された労働者1人平均の支給額21.5千円18.8千円

読み取れることは2つです。資格手当がある会社は増えている(43.8%→48.5%)一方で、 それでも半数強の会社にはそもそも制度がない。 そしてもらっている人の平均は月2万円台前半で、ネットで言われる「5,000〜10,000円」より高く出ています。

企業規模別で見ると、直感と逆の結果が出ています。

企業規模1人平均支給額(2024年11月分)
1,000人以上20.9千円
300〜999人19.1千円
100〜299人20.5千円
30〜99人25.0千円

いちばん高いのは従業員30〜99人の会社です。大企業ほど高いわけではありません。 基本給の体系が整っている大企業では手当より等級で処遇する、 規模の小さい会社では手当が数少ない差のつけどころになる——といった事情が想像できますが、 調査は理由まで示していないので、ここは当サイトの推測です。

この数字をそのまま自分に当てはめないでください。注意点が3つあります。
  • IT資格の統計ではありません。危険物取扱者も電気工事士も調理師も含む「技能・資格の手当」全体の平均です
  • 支給された人の平均です。制度が無い会社の人や、対象資格を持っていない人は分母に入っていません
  • 1人が複数の手当を受け取っている場合も合算されます。1資格あたりの単価ではありません
つまりこの21,500円は「基本情報に受かればもらえる額」ではなく、 資格手当という制度がどれくらいの規模で動いているかの目安です。

自分がいくらもらえるかを確かめる3ステップ

相場を探すより、こちらのほうが5分で確実です。

  1. 賃金規程(給与規程)を開く。就業規則本体ではなく、賃金規程に別表として付いていることが多い書類です。 社内ポータルの人事・規程集にPDFで置かれているのが一般的で、 労働者に周知する義務がある文書なので「見せてください」と言って断られる類のものではありません
  2. 「資格手当」「技術手当」「奨励金」「報奨金」で探す。名前は会社によって違います。 別表に対象資格の一覧と金額が並んでいるはずなので、そこに情報処理技術者試験の区分名があるかを見ます
  3. 無ければ人事に1問だけ聞く。「基本情報技術者試験は資格手当の対象ですか。対象なら金額と申請方法を教えてください」で足ります。 合格してから聞くのではなく、申し込む前に聞くのがコツです。受験料の補助が使えることに気づく場合があります

※求人票で確認したい場合は、待遇・福利厚生欄に「資格手当(対象資格は当社規定による)」とだけ書かれていることがあります。 金額が書かれていない場合は面接で対象資格の一覧を見せてもらえるかを聞くと具体的になります。

「毎月の手当」と「合格一時金」はまったく別物

同じ「資格でもらえるお金」でも、制度としては別です。ここを取り違えると金額の感覚が2桁ずれます

資格手当(毎月)合格一時金・報奨金(1回)
支払われ方資格を保有している間、毎月の給与に上乗せ合格したときに1回だけ
止まる条件制度の廃止、上位資格への切り替えなど—(1回で完結)
3年間の合計(月5,000円/一時金3万円の例)18万円(5,000円×36か月)3万円

月5,000円は小さく見えますが、3年で18万円、5年なら30万円です。 受験手数料が7,500円(2026年8月5日時点)であることを考えると、 手当が付く会社なら2か月で元が取れる計算になります。 逆に一時金だけの会社では、金額の大きさに関係なく「1回きり」です。 どちらの制度なのかを先に確かめてください。

勉強にどれくらいの時間を投じるかを決めるときは、この金額を時給に直してみると判断しやすくなります。 必要な学習時間の目安は 勉強時間の逆算ツール で試算できます。 仮に150時間かけて月5,000円の手当が3年続くなら、18万円÷150時間=時給1,200円相当。 これに転職時の評価や上位試験への足がかりが乗る、という見方になります。

資格手当は残業代の単価にも効く

見落とされがちですが、資格手当は割増賃金(残業代)の計算基礎に含まれるのが原則です。 厚生労働省の解説資料では、割増賃金の基礎となる月給額について 家族手当・扶養手当・子女教育手当・通勤手当・別居手当(単身赴任手当)・住宅手当・臨時の手当を除き、 すべての手当等を合計したものと説明されています。 この除外リストに資格手当は入っていません

つまり手当が月5,000円付けば、その分だけ1時間あたりの賃金が上がり、残業代の単価も上がるということです。 残業が多い職場ほど、額面以上の効果があります。 なお、除外できるとされている手当でも、家族数や通勤距離に比例せず一律に支給されている場合は基礎に含める必要がある、 とも説明されています。個別の計算が正しいかどうかは会社の給与担当や労働基準監督署にご確認ください。

税金の扱い:手当は課税、受験料の会社負担は非課税になりうる

資格手当は給与所得として課税されます。給与所得は「俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、 これらの性質を有する給与に係る所得」と定められており、通勤手当のような非課税の特則が資格手当にはありません。 月5,000円の手当は、手取りではその分より少し目減りします。

一方で、会社が受験料や講座費用を負担した場合は、課税されない扱いがあります。 国税庁は、職務に直接必要な技術や知識を習得させ、または免許や資格を取得させるための研修会・講習会等の出席費用などに充てる金品で、 その費用として適正なものは給与として課税されない、としています。

「手当をもらう」より「受験料を出してもらう」ほうが税の扱いでは有利になりうる、ということです。 両方ある会社なら両方使えばよく、どちらか一方しかない会社では、この差を知っておくと交渉の材料になります (実際の課税判断は会社の経理・所轄の税務署の判断によります)。

※自腹で受験した場合、確定申告の特定支出控除に「職務に直接必要な資格を取得するための支出」という枠はあります。 ただし控除できるのはその年の特定支出の合計が給与所得控除額の2分の1を超えた部分だけです。 年収400万円なら給与所得控除は124万円なので、62万円を超えた分が対象。 受験料7,500円+参考書代では、まず届きません。制度としては存在するが、この試験のためだけには使えないと考えてください。

手当が無い会社だったら

まとめ

  1. 試験別の手当相場という統計は存在しない。「5,000〜10,000円」は出どころが確かめられない数字
  2. 国の調査で分かるのは、資格手当のある会社が全企業の48.5%、支給された人の平均が月21.5千円(全資格まとめて・2024年11月分)
  3. 金額が最も高いのは従業員30〜99人の会社(25.0千円)。大企業ほど高いわけではない
  4. 自分の額は賃金規程の別表で分かる。無ければ人事に「対象資格と金額と申請方法」を聞く。申し込む前に聞く
  5. 毎月の手当と合格一時金は別物。月5,000円でも3年で18万円になる
  6. 手当は残業代の単価にも効く課税される。逆に受験料の会社負担は非課税になりうる

よくある質問

手当は合格発表の翌月から出ますか?

支給の開始時期は勤務先の賃金規程しだいで、「合格した月から」「申請した翌月から」「4月の改定時にまとめて」など運用が分かれます。共通しているのは、申請しないと始まらないことです。合格を示す書類の準備には時間差があり、合格証書は合格発表の約2週間後に発送されますが、合格証書番号は発表と同時に受験者マイページで確認できます。番号の記入で足りる会社なら書類の到着を待つ必要はないので、申請様式に何を書く欄があるかを先に見てください。

転職したら資格手当はどうなりますか?

資格手当は会社ごとの制度なので、前の会社の金額が引き継がれることはありません。転職先に制度がなければゼロになりますし、あっても金額や対象資格は別物です。一方で試験の合格そのものは国家試験の合格として残るので、応募時に提示することはできます。求人票の待遇欄に対象資格と金額を明記している会社もあるため、応募前の確認材料として使えます。

応用情報にも受かったら、手当は合算されますか?

合算する会社と、上位の資格に切り替える(基本情報の分は止まる)会社の両方があり、規程を見ないと分かりません。次を目指すなら金額そのものより先に、この扱いを確認しておくと計画が立てやすくなります。同じ理由で「同じ資格に2回受かっても増えない」「対象資格の一覧が数年前のまま更新されていない」といった運用もあるので、人事に聞くときは対象資格の一覧を最新版でもらうのが確実です。

手当がもらえるなら、会社の負担で受験したほうが得ですか?

別の話なので、両方取りにいくのが基本です。受験料の補助は合格前に1回だけ効くもの、手当は合格後に毎月効くもので、原資も申請先も違うことがあります(受験料の補助は教育研修の予算、手当は賃金規程)。会社に受験料を出してもらう場合は、精算に領収書などの書類が要るので、支払い方法を決める前に手順を確認しておくと手戻りがありません。

出典・ご注意

統計の数値は厚生労働省「就労条件総合調査」の公表値(令和7年調査=2024年11月分、比較用に令和2年調査=2019年11月分)にもとづきます。この調査の「技能手当、技術(資格)手当」は特定の技能・検査資格などを有する者に支給する手当の総称で、情報処理技術者試験に限定した数値ではありません。また支給を受けた労働者の平均であり、制度が無い企業や対象外の労働者は含まれません。資格手当の有無・金額・支給条件は各社が任意に定めるものであり、本記事は特定の金額を保証するものではありません。割増賃金の算定や税務上の取り扱いは個別の事情によって判断が異なります。実際の適用については勤務先の規程・給与担当、所轄の労働基準監督署および税務署にご確認ください。本記事は2026年8月5日時点の情報です。

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